炭素鋼と合金鋼
いきなり料理の話になりますが、「みそ汁」や「うどんのつゆ」はどうやって作りますか。もちろん地方によって違うでしょうが、例えば、「水」に「鰹節」を入れてダシをとり、この「ダシ」を元に、みそ汁なら「味噌」、「ワカメ」、「豆腐」などを入れ、「うどんつゆ」なら「醤油」、「ミリン」など入れて味付けすると思います。鉄鋼材料も同じで、「焼入れ性」や、「靭性:粘り強さ」や、「耐食性:腐食しにくさ」などの特殊な性質を持たせるために「鉄」から生まれ変わった「炭素鋼」をベースとして、マンガン「Mn」、モリブデン「Mo」、ニッケル「Ni」、クローム「Cr」、その他の元素を添加して「合金鋼」を作ります。つまり、ある特殊な性質を持った「合金鋼」が、目的とする料理の「みそ汁」や「うどんつゆ」であり、「水」が「鉄」、「鰹節」が「炭素」、「味噌」や「醤油」といった調味料が「マンガン」や「モリブデン」といった添加元素に相当します。「ダシ」を元にいろんな料理ができるように「炭素鋼」を元にいろんな性質を持った「合金鋼」が作られます。
さて、このお話のシリーズの中で重要なのは、「焼入れ性」を良くする調味料です。「焼入れ性」を良くする調味料は、マンガン「Mn」、モリブデン「Mo」、クローム「Cr」、ボロン「B」などが代表的な元素です。特にクロームやモリブデンは、焼入れ性の他に「対摩耗性:Cr」、「耐食性:Cr」、「高温引張強度の増大:Mo」など、他の性質も持たせることができ、味の素のような働きをします。
JISでは、このような「合金鋼」を用途や主要合金元素記号によって区別しています。例えば、構造用合金鋼の「SCM」(鋼+クローム+モリブデン)、工具鋼の「SK」(鋼+用途が工具)、特殊用途鋼の軸受け鋼「SUJ」(鋼+用途が軸受け)、ステンレス鋼「SUS」(鋼+用途がステンレス)など非常に多くの種類があります。また、それぞれの鋼種においても、「SCM440」のように、主要元素記号に主要合金元素量コードと炭素量の代表値(平均値)を併せて表記してさらに細かく分類しています。例えば、「
40」は、クロームモリブデンの合金鋼で、主要合金元素量コード(炭素を除くMnやCr等の添加量の組み合わせ番号)がJISのNo.4で、炭素含有量の平均が0.40%であることを意味します。
最後に、上でお話ししたように、JISには非常にたくさんの鋼種が用途別(工具鋼であるとか軸受け鋼であるとか)に記載されていますが、これはその用途にしか使ってはいけないのではありません。その用途に適してはいますがそれ専用ではなく、製品の使用状況を分析し、材料が元来持っている性質と熱処理の適正や特性変化を含めて検討して選ぶことが肝心です。
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